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キルギス共和国 Kyrgyz Republic

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今でも残る誘拐婚

地元の非政府組織の調査結果によると、東部の山岳地帯の辺境地帯にあるNaryn市では、結婚の60%から80%が誘拐によるものだと言われています。

誘拐婚はグルジアのようにキリスト教徒が多い地域でも北コーカサスやキルギスのようなムスリムの多い地域でも行われてきた、何百年も続く土着の慣習でした。

また、親が結婚に反対している恋人同士が結婚に踏み切るために行われることも多くありましたが、道端で女性に一目惚れした男性が、友人らと共謀してその女性を誘拐する例もあります。

 

キルギスの場合、結婚を考えている男性がめぼしい相手がいない時、街を回って女性に声を掛けたり、容姿の良い人を見付けて狙いをつけます。

後日、男性が女性を誘拐し、大抵はその男性の親戚の家に監禁されます。

女性を監禁している間、その時に暴力を振るったり、女性に手を触れたりするようなことはしてはならない決まりになっています。

誘拐されたと知った女性の親戚が、女性を引き渡すよう、交渉に出向きますが、誘拐されてから発見されるまでに一夜経ってしまうと、女性の家族は諦め、女性にその男性と結婚するように促します。

実の母親に「この家に嫁ぎなさい」と言い放たれ、泣きじゃくったという女性の話は何度も聞いたことがあります。

 

説得に応じたときには「jooluk」と呼ばれるショールを与えられます。

キルギスタンでは、このショールを身につけた女性は婚約者がいることを意味します。
 

たとえ結婚を拒んだとしても、この地方の習わしでは、未来の夫の家で3日間過ごした場合、その女性はすでに「汚された」と見なされ、実家に戻ることは出来ません。

そのような状況なので多くの女性が諦めてしまい、せいぜい「夫になる男が善良で優しい人であるように」と望むことぐらいです。

 

このような慣習が広まったのは、とある誘拐結婚がきっかけでした。

その昔、裕福な家の娘と恋に落ちた男性が相思相愛の中、結婚を相手の家族に申し出ようとします。
しかし、相手の家族の要求する所持金などの贈り物を到底用意することが出来なかっため、考えたその男性は、キルギスの“純潔"を重んじる文化を利用し、女性の合意のもと、工作誘拐をしてそのまま誘拐結婚に至った、という話が残っています。

2015年      11

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